管理会社と管理組合の関係

管理会社の中の話を書きたいと思います。

普段、管理組合は営業であるフロントマンと応対をしています。

管理会社の規模にもよりますが、私が勤務していた会社の組織ですと、管理組合と関連するその他の部署として工事課と会計課と保険課があります。

工事課と管理組合

工事課は建築士の資格を持った人間が配属されている大規模工事などの修繕工事の際に提案・説明をする部署です。

工事課は私の専門外で、正直なところそこまで詳しくはないので少しだけの紹介としておきます。

私の勤務していた会社の工事課では、小修繕は直接工事を行い報酬請求し、外壁工事などの大規模工事は他の専門業者に依頼するためのコンサルタント報酬を請求する部署として活動していました。

管理会社にとって工事の売上は大事な収入源ですので、普段の関係値を活かしてどこの管理会社も積極的に提案しているかと思います。

基本的には管理会社の提案を受けることが望ましいとは思うのですが、管理組合としてはその内容が不相応に高額でないかだけ注意はする必要があるかと思います。

当然いつも高額請求というわけではないのですが、実際に私が勤務している時の話で、保険金の入金が見込まれる台風被害の修繕を請け負った際に、相場に比べて高すぎるため保険認定が下りないほどの請求をしているケースが見受けられました。

会計課と管理組合

会計課の業務は大きく分類すると下記の3つです

  • 収納業務 → 区分所有者から管理費・積立金等を徴収する
  • 決算業務 → 毎月の会計報告書を作成する
  • 支払業務 → 点検業者などへの振込支払いをする

会計・税理士事務所では収納・支払業務はお客様である個人事業主・法人が行っていますので、決算業務のみを取り扱っています。

管理会社ではこれに加えて、お客様の通帳を預かったうえで金銭面に関わる全ての業務を行っているというわけです。

そう聞くと本当に管理組合のお金は大丈夫か?と心配になりますが、毀損事故が起きないようマンション管理適正化法という法律で最低限の管理方法について定められています。(ただ、この法律を守っていたとしても完全に横領などが防げるわけではないですが・・・)

例えば、通帳と印鑑は管理会社が両方持つのはNGで、通帳は管理会社が持ち、印鑑のみ理事長が持つことで分別管理をするといったようなものです。

管理組合は、一般の方の貯金よりも多額な財産を保管していることから財産の保全が最優先事項です。

不正防止をするためにも管理会社の仕組みを知っておいた方がよいでしょう。

上記3つは会社によって一人の担当者が全て行う場合と、業務ごとに担当を決めて行っている場合があるかと思います。

・一人の担当者で3つの業務を行っているイメージ

・各業務を分担して行っているイメージ

小さい会社では一人の担当で3つの業務を完結している場合がほとんどで、管理数が多い会社になるほど業務ごとに分担作業を行っているのではないかと思います。

また、管理物件数がそれほど多くない管理会社では、自社の経理業務や営業事務業務もやっているケースもあるかと思います。

さらに管理物件数が少ない社員数人程度の管理会社ではフロントマンが会計業務をすべてやっているケースもあるようです。

私が勤務していた会社は収納+決算業務の担当と支払業務の担当との2課制としていました。この理由としては、支払業務は組合の口座からお金が出ていくことにより、不正にもつながりやすいことから会計資料を作成するチームとは分けて作業を行い、会計課の中で2人以上の目を通すことで不正行為防止のけん制をするためです。

不正防止策に効果的なのは?

会社のシステムにもよりますが、個人的には、取引の大半が電子化されてきており、支払い手続きも高額なものでなければインターネット取引で完了するようになってきていますので、業務的には一人の担当者で全てを完結させる方が効率は良いのではないかと思います。ただし、担当者によって業務の個人差は出るかと思いますので、これをフォローする仕組みは必要ですし、不正行為防止の観点でいうと業務分担した方がよいことになります。

管理会社での不正行為が起こる可能性の順位としては

各業務を分担 < 会計1担当で処理 < フロントマンが会計も処理  となります。

理由は下記の通りです。

各業務を分担 → 一つの組合について複数人の目が通る

会計1担当で処理 → 最低でも会計担当とフロントの二人は目が通る

フロントマンが会計も処理 → 担当フロントマンしか目が通らない

このことから、管理会社を選択・変更する際には少なくとも会計の専属部隊が処理をする会社を選ぶべきです。

自主管理の管理組合についても同様で、複数人の目を通すことにより不正行為が起こる可能性は低くなります。

特に支払い手続きについては一人で完結することなく、最低でも2人以上の複数人チェックをするべきでしょう。

不正行為のお話は次回より詳しく記載させていただこうと思います。