下記の表は、2020年の1年間において、横領・着服などで管理組合が多額の被害を受けたことにより行政処分を受けた内容です。

この処分を受けているものは管理会社の社員などによる着服事件の氷山の一角であり、ほかにも処分を受けていない数十万程度の少額被害は多数あると考えられます。

処分内容処分日商号理由
指示2020/8/24㈱東京建物アメニティサポート管理組合契約保険金の不正着服
指示2020/6/3積和管理関西㈱管理組合財産の着服(詳細不明)
指示2020/3/27㈱穴吹コミュニティ未管理口座を使用した管理組合財産の着服(架空工事の計上)
指示2020/2/28東武ビルマネジメント㈱管理組合財産の着服(詳細不明)
指示2020/2/6コミュニティワン㈱フロントと下請会社社員の共謀による組合財産の着服
指示2020/1/16㈱カシワバラ・デイズ複数の組合財産の支払経費着服

☝このリンクより国交省整備局から処分を受けた管理会社を確認することができます。

このように大手管理会社でも横領・着服事件が毎年多数発生しており、管理組合に任せきりにするのではなく、警戒と対策をしておかなければなりません。

ツインタワー石打横領事件

2015年に新潟のリゾートマンションで当時理事長であった公認会計士が11億円以上もの横領をしていたとして逮捕される事件が発生しました。

この事件では1999年に新しく就任した理事長が逮捕されるまでの16年間、長年に渡りずっと理事長をしており、その間に組合をだまし続けて横領をしていました。

横領された11億円以上の財産のうち7億円は時効を向かえてしまっていましたので、事件としては4億の横領事件となりました。

この逮捕された理事長は、公認会計士という立場から疑われないことを利用し、残高証明書を偽造して横領をし続けていました。

このマンションはリゾートマンションであることから、大浴場やテニスコートなどの施設を所有しており区分所有者から徴収している管理費等が通常のマンションに比べて高額でした。

また、永住している人間が少なかったことも不正発覚が遅れた原因であるでしょう。

この事件では、もっと早く発覚していれば被害額がここまで増えなかったですし、時効を向かえることもありませんでした。

残念ながらこのマンションでは、なくなった11億円ものお金を、再度所有者らが負担する必要が出てくるでしょう。

教訓として…

このように管理会社が管理しているマンションでも理事長・組合役員・管理会社社員・下請業者など様々な関係者によって着服横領が発生してしまっています。

自主管理の管理組合においては、自らの手元に通帳と印鑑があることから、さらに容易に横領・着服を行うことが可能となっています。

さらに、自主管理のマンションにおいては、人間関係的に自身とともに暮らす住民を疑うことは難しいことから、疑いをかけるようなことをさせないためにも、より一層の不正防止の仕組みを作るが必要であるでしょう。

区分所有者から輪番制で任命される監事は、万が一なにかあったら…と考えると、監査の作業はとても大役でプレッシャーになりますし、専門知識がない方では適正な監査自体が難しいでしょう。

ですので、自らの管理組合の財産を守るためにも専門家による会計監査が必要となります。

特に自主管理の管理組合においては、区分所有者から理事へのあらぬ横領・着服疑いを晴らすためにも専門家による会計監査をお勧めします。